合格体験談
Mr.ラウンドとの出会いとMBA
【MBA取得を目指して】
MBA取得を本格的に目指そうと考えたのは、1999年のはじめ、勤める会社が経営に行き詰まった後でした。英語の実力がない私にとっては(その頃は、TOEIC760点)、先ずは英語の実力をつけることが先決だったため、会社の仕事で夜10時頃に帰宅してから平日3時間、週末10時間程度、英語の勉強に時間を割き、独学で英語力の修得に力を注ぎました。1999年の9月からは毎月TOEFLの試験を受けはじめ、10月には東海岸のファイナンスに強いビジネススクールのキャンパスビジットを行い、気持ちを盛り上げ、2000年秋のアプライに照準をあわせた受験準備に取り掛かりました。TOEFL最低600点以上、GMAT650点以上、効果的なエッセイの作成は、早い段階で目処を立てたいと思っていたのですが、地方勤務であった私には、プロフェッショナルなアドバイスやテスト対策を受講することができる準備学校も近くになく、厳しい環境下での準備に行き詰まりを感じていました。
そんな中、地方在住の私が効率よく準備を進められることのできるサービスを提供してくれる準備学校、そしてアドバイザーに出会うことは不可欠であると考え、週末には東京のいくつかのMBA準備学校に顔を出し、カウンセリングの案内や、TOEFL・GMAT対策コースへの参加を行いました。色々調べていくうちに、テストで高得点を出しても、エッセイに中身がなく、アドミッションの印象に残る文章を書けなければ合格は難しい、ということがわかり、頼れるエッセイカウンセラーに出会いたいという気持ちを強く持つようになりました。しかしながら、エッセイカウンセラーの中には、直接会いに行かないとアドバイスを受けることができないとか、時間の融通がきかず、緊急のアドバイスが欲しい時でも予約をして1週間待たないと聞くことができないとか、単なる添削しか行わず内容についてアドバイスがないとか、逆にこちらが書きたい内容を受け入れてもらえず、経験してもいないことを勝手に書いてしまうといった具合に、私のニーズに全くあわないカウンセラーばかりでした。途方に暮れかけていた頃、出会ったのがMr.ラウンドでした。
【Mr.ラウンドとの出会い】
Mr.ラウンドは、長身で紳士的、落ち着いた雰囲気のカナダ人でした。簡単な自己紹介をお互いに済ませると、早速2000年秋のアプライを実現するための計画についての話がはじまりました。長期にわたるプロジェクトを成功させるには、当然緻密で計画的なプランニングが不可欠であることはわかっていましたが、エッセイのみのアドバイスを想定していた私には意外なアドバイスが次々と出てきました。先ずは、私の英語力の中で弱い部分を重点的に補強するような勉強をすること、GMATの勉強はTOEFLの点数が上がるまでもう暫く待つこと、エッセイには夏〜秋まで手をつけずとにかく今はTOEFLに集中すること、その一方で、エッセイのネタとして使えそうな実績を残すために仕事や社会貢献活動はしっかりやること、勉強の状況や不安に感じる点、質問については1日1回Mr.ラウンドへEmailで送り、助言を請うこと、などなど、アプライを効率よく行うための綜合的なアドバイスが矢継ぎ早に出てきました。最後にMr.ラウンドは、”During your process to apply business schools, I will tell you what you need to know rather than what you want to know.”ということばで締めくくりました。私が(心地よく感じる)知りたいことを言うのではなく、(嫌なことであっても)知るべき現実を伝える、という大変重みのある一言でした。たった1時間のやりとりでしたが、私はこのはじめて会ったMr.ラウンドを信じて準備を進めようという気持ちになったのです。
その後準備が着々と進み、やっとエッセイに取り掛かることになったわけですが、Mr.ラウンドは、決して私の基本的なアイディアを修正したりはしませんでした。勿論、キャリアプランや、私の経験の表現方法について議論することはありましたが、私の考えを如何にうまく伝えることができるか、ということに力を注いでくれました。文章の構成、ストーリーの組み立て方、など多くのアドバイスを受けました。その結果、完成したエッセイを読むと、私のいいたいことが大変うまく表現されている、という内容でした。中にはエッセイの内容をカウンセラーに勝手に大きく書き換えられた、と不満をいう友人はいましたが、Mr.ラウンドとの間ではそのようなことはありませんでした。
Mr.ラウンドは妥協を嫌い、準備不足を嫌がります。どんなに多忙な状況であってもプロフェッショナリズムを忘れません。言い換えれば、カウンセリングを受ける側の姿勢も真剣でなくてはならないということです。適当な準備でMr.ラウンドに任せようなどという安易な考えを持って彼のカウンセリングに望んだ人は、恐らくうまくいかなかったことでしょう。カウンセリングをする側と受ける側、双方の姿勢とコミュニケーションがうまくいってはじめて成功するのではないかと思います。
私は最終的に、ロチェスター大学のサイモンスクールに留学し、2年間の留学生活を終えましたが、現在でも友人としてお付き合いしているMr.ラウンドは、私のMBA取得への大きな支えであったと思います。この中では書ききれなかった多くの的確なアドバイスは、今でも活きている、私にとって忘れることのできない貴重な訓えとなっています。
留学の準備と2年間の留学は、今振り返ってみれば、長いようで短い経験です。この間に出会う素晴らしい友人は一生の宝ものとなります。これから留学を考えている方々も、素晴らしいアドバイザー、友人に出会うことができることを心より願っています。
(了)